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活動報告

成果の公表  2010.02.28

カナダ・トロントでの研究室訪問を終えて

2010年2月21日から28日までの1週間,カナダ・オンタリオ州・トロント市にあるUniversity Health Network (UHN)の研究施設見学を行いました。

A6MB1012 岩崎夢大
同行教員 佐藤岳哉

 
医学部医学科4年生の岩崎夢大さんは、2010年2月21日から28日までの1週間,カナダ・オンタリオ州・トロント市にあるUniversity Health Network (UHN)の研究施設見学を行いました。目的は,Fabry 病などの先天性代謝異常疾患に対する遺伝子治療研究に関する見識を深めることこと,そして海外と日本での研究室における研究体制の違いなどを肌で感じること,の2点でした。
トロントでの訪問先は、UHN・オンタリオ癌研究所、幹細胞および発生生物学部門に所属するJeffrey A. Medin教授の研究室です。Medin教授の研究室はCanadian Blood Service (CBS)内にあります。この研究室は、私、佐藤が留学先として2年6カ月お世話になった研究室です。このビルディングは1892年にトロントの子供病院として作られ、長く使われてきましたが1990年代の中頃に外壁を残し、建物の中の施設をアップデートすることで、今までと外観はそれまでと同じで、建物は献血センターとして使用するという、日本ではあまり見られない形の建築方法をとっています。この建物の中に献血センターに必要な機能が効率よく集約されています。訪問先の研究室においては岩崎さんにたいして、ラボメンバーの紹介、施設案内、研究内容の紹介、ラボミーティングへの参加などを行いました。岩崎さん自身は、ラボへの訪問中に自分の英語力不足を感じていたようですが、周りのメンバーとなんとか英語を使ってコミュニケーションを取ろうとしていた態度をみて、将来、彼が留学の機会を得て、英語圏の研究室に行くことになっても、心配する必要はないと感じました(英会話を勉強する必要はありますが)。研究室の体制は、日本のものとは明らかにことなっており、細かい分業体制が確立しており、研究者は自身の研究に集中して研究を進めることができるように、サポート体制が充実していることを実感したようです。東北大学医学部においても、研究のサポート体制は以前よりも格段に充実してきていますが、これからはハード面だけでなく、ソフト面においてもますますの充実を希望します。トロント滞在中には、Medin教授の研究室以外にも、トロントメディカルディストリクトビル内にあるSick Children Hospitalの研究室や、Princess Margaret HospitalにあるTranslational research centreを訪問して、基礎研究から、臨床研究を橋渡しする研究の現場を実際に見学することもできました。これらの研究室を訪れて、海外の病院では常に臨床面と基礎面の両方から疾患に対してアプローチをしている、というように感じたようです。
 今回、岩崎さんは3年次で行った基礎修練の延長として海外渡航の機会を得ましたが、この渡航で彼の考えが大きく変わりました。彼は、今までは留学希望ではありませんでしたが、今回の海外の研究室訪問の機会により、その考えが変わり、機会があれば留学を希望するようになりました。そして、それに向けて英会話や、研究に関する十分な知識を、これからの高次医学修練や大学院において身につけていく必要があることを理解しました。将来、彼が海外留学の機会を得た際には、今回の海外渡航で経験したことをぜひ生かしてもらいたいと希望します。

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左:Medin教授との写真(左:Medin教授、中央:岩崎さん、右:佐藤)
右:CBSの外観